時々いただくご質問に、「ポーリッシュポタリーは陶器ですか?磁器ですか?」というものがあります。
日本は焼き物の文化が盛んで、陶器、磁器、陶磁器という言葉も一般的に多くの方がご存じですので、
では、ポーリッシュポタリーはどれに属するの?という疑問を持たれる方もいらっしゃることでしょう。

まずは陶器や磁器の区別を簡単にご説明しますね。あまり厳密で専門的なことは申しません、おおざっぱな点はご容赦ください。

陶器は、素材原料が陶土の粘土でできたものです。石の粉を混ぜる場合がありますが割合は多くなく、800~1200℃で焼成されます。焼きあがっても地肌は陶土の茶色い色をしています(茶色は陶土の性質によって濃淡があります)。軽く、粘土の柔らかさを感じる手作りの味わいが特徴です。
粘土には微生物や空気が含まれているので、焼きあがった陶器の中にも目に見えない空気が沢山含まれるため水が浸み込みます。実際には陶器の上にガラス質の釉薬(ゆうやく、うわぐすり)をかけたり、固く焼き締めたりして水漏れしないようにしてありますが、陶器自体には水が浸みます。一度でも水を通した陶器が新品という扱いでなくなるのはこのためです。
陶器を初めて使うときに「目止め」という、浸み込み防止の作業を行います。

▲ 陶器の糸底(糸尻)。釉薬がかかっていない糸底は薄茶色の地肌が見えます。

一方、磁器のほうは粘土に混ぜ込む石粉の割合が多く、また、1300~1400℃の高温で焼成されます。混ぜ込む石粉は長石やガラス質の珪石です。珪石が溶けて長石と結合し、非常に硬くて水も通しにくくなる、これが磁器です。
わずかですが磁器にも水は浸みこみますので、最初の美しさを長く保ちたい方や、特に貫入に色が入るのがお好きではない方は、目止めをされると良いでしょう。

さて、ポーリッシュポタリーですが、現代のポーリッシュポタリーは石粉が多く混ぜられた白い地色をしており、最終的な焼成温度は2300℃以上という高温ですので、磁器に属します。英語圏では ”stoneware” と呼ばれているも、もっともですね。

▲ ポーリッシュポタリーの底の部分は白い色をしています。

ポーリッシュポタリーは正しくは磁器なのですが、陶器か磁器かの厳密な分類にこだわらず「ポーランド陶器」と呼ばれることも多いようです。「陶器=器」と呼び親しんできたためでしょうか。このあたりは「瀬戸焼」ではないのに食器を「せともの」と呼んだりする風習と共通していますね。

ポーリッシュポタリーは石粉の含有量が多く、高温で焼成するので磁器です、とあっさり申し上げましたが、実際には型(モールド)で成形した後、一度、800~1200℃の温度で下焼きされます。この時は絵柄も釉薬もかけない薄黄色や薄オレンジ色の素焼きで、ビスケットと呼ばれます。色といい、シンプルに焼かれた雰囲気といい、本当にビスケットみたいです。

これに絵付けを施して乾燥してから、再び、こんどは2300℃くらい(メーカーによって公表している窯の温度設定には数十度の差があります)の高温でじっくり焼成され、ゆっくり冷まされていよいよ皆様の触れるポーリッシュポタリーとなります。
ポーリッシュポタリーの詳しい製造工程は、また別の記事でご説明させていただくことにいたします。

こんな風に高温で焼かれた磁器は丈夫で固く、壊れにくいのが特徴です。固い磁器は爪の先ではじくと「チン」という高い音がします。

余談ですがAmeliaポーランド食器では発送前の最終検品の時に、必ずこの「音で確かめる」作業を行っています。滅多にないことですが、もし、ひび割れや欠けがあった場合、必ずくぐもった音がします。
製品の良し悪しは、こうして音にも表れるものなのです。

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